今回はまだあまり世間に出回ってないお話をします。

先日ですが、所属するAI研究会のメンバーと九州工業大学のニューロモルフィック研究センターを訪問し、
ニューロモルフィックハードウェアに関する研究について、実際にお話を伺ってきました。

正直に言うと、行く前はこう思っていました。
「ニューロモルフィックって、要するに“CPUやGPUの次世代版”でしょ?」
——結果から言うと、まったく違いました。
これは「性能の延長線」ではなく、**“考え方そのものが違うAI”**でした。
今日はその気づきを、
小学生でもわかるレベルの言葉で、
でも 技術の本質は削らずに 書いてみます。
🧒 そもそも「ニューロモルフィック」って、なに?
ひとことで言うと、
「人の脳のしくみをマネして作ったコンピュータ」
です。
私たちが普段使っているCPUやGPUは、
- ずっと全力で計算し続ける
- 電気をたくさん使う
- 熱を出す
という性質があります。
一方、人間の脳はどうかというと、
- 必要なときだけ反応する
- ほとんど電気を食わない
- 24時間動いてもバテない
ニューロモルフィックは、
この「脳の省エネ構造」をそのままハードウェアで再現しようという技術です。
🤖 なぜ今、そんなものが必要なのか?
理由はシンプルです。
これからのAIは、
- ロボット
- ドローン
- 見守りカメラ
- スマート工場
- 自動運転
といった、
「電池で、現実世界をずっと動き続けるAI」が主役になるからです。
ところが今のAIは、
- 電気を食いすぎる
- 暑くなる
- 小型化しにくい
という壁があります。
そこで必要になるのが、
「少ない電気で、ずっと考え続けられるAI」
それをハードウェアレベルで実現しようとしているのが
ニューロモルフィックです。
🧠 CPU・GPU・AI専用チップ・ニューロモルフィックの違い
ここ、よく誤解されるポイントなので整理します。
| 種類 | 役割 | 位置づけ |
| CPU | 何でも屋 | パソコンやサーバの基礎 |
| GPU | 並列計算の専門家 | 映像・AIが得意 |
| TPU | AI専用チップ | データセンター用 |
| ニューロモルフィック | 脳の再現 | 次世代の知能基盤 |
たとえば、
- Google TPU
- AWS Inferentia
これらはすべて、
「CPUやGPUを“置き換える”ものではなく、“助ける”チップ」
です。
一方、ニューロモルフィックは、
「そもそも“考え方が違う脳”を作ろうとしている」
という、まったく別次元の方向性でした。
🧪 九州工業大学で感じた「本質」
今回お話を伺って、強く感じたのはこの3つです。
- まだ“製品”ではない。完全に“未来技術”
- しかし、ロボット・自律AIとの相性は異常に良い
- 普及すれば、
「AIが電池で何日も動く世界」が本気で見えてくる
特に印象的だったのは、
材料工学の視点からニューロモルフィックを作っているという点です。
つまり、
- ソフトではなく
- 回路でもなく
- もっと下の“物質レベル”から脳を作ろうとしている
ここに、大学研究ならではのロマンと現実の両方を感じました。
🤝 フィジカルAIとの関係(個人的に一番アツいところ)
私はこれまで、
- ロボット
- センサー
- ローカルLLM
- 自律判断AI
といった 「フィジカルAI」の文脈で色々触ってきました。

そこで常に感じていた課題がこれです。
「AI、便利なんだけど……
電気食いすぎじゃない?」
ニューロモルフィックは、この問題に対して、
「脳の作り方そのものを変えよう」
と真正面から殴りに来ている技術でした。
これは正直、
“次の10年を作る技術”だなと肌で感じました。
🏁 まとめ:今回の訪問の意味
今回の九工大訪問は、
- すぐにビジネスになる話ではありません
- 製品化も、まだ時間がかかります
でも、
✅ 10年後のロボット
✅ 10年後の自律AI
✅ 10年後の人とAIの関係
この“土台”が、静かに、でも確実に作られている現場を見てきました。
これは、今の仕事にも、個人の研究にも、確実につながる体験でした。
またこちらの情報はあまり世間には発信されていませんが、期待できる技術のひとつとして紹介しました。
進展あればまた紹介していきたいと思います。





