〜Paper Tradeから実弾運用へ進めた、本当の理由〜
前回の記事では、
「利益を出すAIを作るには、改善よりも『評価』が先だ」
というテーマについて書きました。
AIを賢くするためには、新しいアルゴリズムを次々と作ることよりも、
「その改善は本当に利益へつながるのか」
を評価できる環境の方が重要だという考えです。
その記事を書いた時点では、まだPaper Tradeを続けていました。
そして今回、ETH/JPYを対象に少額ながら実弾運用を開始しました。
しかし、その理由は
「Paper Tradeで利益が出たから」
ではありません。
今回一番大きかったのは、
Replayシミュレータを作ったことで、AIに必要な投資戦略が見えてきたこと
でした。
Paper Tradeだけでは分からなかったこと
Paper Tradeは非常に便利です。
実際の市場価格で売買を行い、お金を失うことなくAIの性能を確認できます。
私も数か月にわたりPaper Tradeを続けてきました。
しかし、運用を続けるうちに一つの壁にぶつかりました。
例えば、
TP(利確)へ到達したあと、
そのまま持っていたらどうなっていたのか?
あるいは、
半分だけ利確したらどうだったのか?
追加で買い増ししたら利益は伸びたのか?
Paper Tradeでは、
実際に売ってしまった後の世界
を検証することはできません。
つまり、
改善案を比較することができないのです。
Replayシミュレータを開発した
そこで開発したのが
Replayシミュレータ
です。
Paper Tradeで蓄積した
- シグナル
- エントリー
- エグジット
- 保有時間
- 市場状況
これらをすべて保存し、
同じ市場データに対して
何度でも違う投資戦略を試せる
ようにしました。
イメージとしてはこんな流れです。
市場データ
│
▼
Forecast
│
▼
Paper Trade
│
▼
全シグナル・全売買履歴を保存
│
▼
Replay Simulator
│
├── Strategy A
│ TPで即利確
│
├── Strategy B
│ Trend Ride
│
├── Strategy C
│ Trend Ride+ADD
│
└── パラメータ変更
つまり、
同じ相場
同じシグナル
で、
投資戦略だけを変えて何度でも比較できる環境です。
投資戦略を比較してみた
Replayでは、
約1か月分のデータを使って、
さまざまな投資プランを比較しました。
例えば、
Strategy A
TPへ到達したら
すぐ利確。
Strategy B
TPへ到達しても、
上昇トレンドが続いている間は保有を続ける。
私はこれを
Trend Ride
と呼んでいます。
Strategy C
Trend Rideに加えて
さらに
- ADD(追加エントリー)
- Partial Exit(半分だけ利確)
まで導入した戦略です。

これらをReplayシミュレータで何度も比較しました。

結果は予想外だった
実は最初、
私はStrategy Cが最も利益を伸ばすと思っていました。
つまり、
Trend Rideだけでは足りず、
ADDやPartial Exitまで必要になると考えていたのです。
ところが、
Replayシミュレータの結果は違いました。
改善効果のほぼすべては、
Trend Rideだけ
で説明できたのです。
つまり、
システムを複雑にする必要はありませんでした。
Replayによって、
最初に実装すべきなのは
- Base Position
- Trend Ride
この2つだけで十分だということが分かりました。
これはReplayシミュレータがなければ絶対に分からなかったことです。
シミュレータが投資戦略を教えてくれた
今回一番面白かったのはここです。
AIが勝ち方を教えてくれたわけではありません。
Replayシミュレータが、
どの投資戦略が利益につながるのか
を教えてくれました。
言い換えれば、
私はAIを改善したのではなく、
AIを評価する環境を改善した
のです。
その結果、
どこを改善すれば利益が伸びるのかが、
数字として見えるようになりました。
だから実弾運用へ進んだ
Replayシミュレータで
投資戦略が見えてきた。
Execution Layerも完成した。
Paper Tradeでも継続して利益が出るようになった。
そして、
Live Validationによって
Paperと実運用との差も観測できるようになりました。
ここまで来て、
ようやく
「実弾を投入しても評価を続けられる」
状態になったと判断しました。
今回投入した実弾は、
ETH/JPYを対象に約1万円から。
Research Budgetも8万円までに制限しています。
目的は利益を急ぐことではありません。
Replayでは観測できなかった
- 約定価格
- 手数料
- スリッページ
- 実際の市場とのズレ
を収集し、
次の改善へ活かすことです。
AIは「買う」だけでは利益にならない
今回Replayで分かったことは、
AI自動売買の勝負は
「いつ買うか」
だけではありません。
むしろ重要なのは、
「いつまで持ち続けるか」
でした。
だから現在は、
Trend Rideを実弾環境で検証しています。
利益が伸びるなら保有を続け、
勢いがなくなったら売る。
このPortfolio Intelligenceが、
次のテーマになります。
まとめ
Replayシミュレータを作ったことで、
Paper Tradeでは見えなかった
投資戦略の違い
を客観的に比較できるようになりました。
その結果、
最初に実装すべきなのは
複雑な売買ロジックではなく、
Trend Rideというシンプルな戦略であることが分かりました。
だから私は、
実弾運用へ進みました。
利益が出たからではありません。
評価環境が、次に進んでもよいと教えてくれたからです。
次回予告
Replayシミュレータで見つけた投資戦略は、本当に実際の市場でも通用するのでしょうか。
現在、実弾環境で**Portfolio Intelligence(Trend Ride)**の検証を進めています。
次回は、Paper Tradeで予測した結果と実際の市場での結果を比較しながら、「AIはどこまで利益を伸ばせたのか」をレポートする予定です。




















